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八.
「……あぁ……」
眉間から僅かに血を滴らせ息絶えている豚から、強い日差しを浴びせる直上の太陽を仰ぎ見て、その眩しさに目を閉じ、汗と血と土とジンタの唾液でべとべとの腕に触れながら、
「どげち……よう……わからん……」
「……ほか」
俺のつぶやきにまた大きく煙を吐いた爺ちゃんだったが、しばらくの間の後に俺が、
「じゃぃが……」
「ぁん?」
「…………腹……減ったがや……」
続けた言葉に、柵を叩いて煙管から吸い殻を落とすと、
「したら……そい食ぅか?」
煙管の先を俺の足先の物体へ向けて揺らした。
「…………」
俺は目を閉じしばらく黙ったままであったが、やがて大きく息をつき、
「……そだな……食おが……。
こんをほっといてもどげもならんち、せめて食ったほが良かがわ……」
ジンタと共に立ち上がり、その大きな塊を見やった。
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