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○月×日
化け猫がふてくされた様子でやってきた。
「先生、何とかならんものかねえ」化け猫は腕で顔を何度も洗うように擦った。「全く話にならんよ」
「何を怒ってらっしゃるんです?」
「最近はペットブームが定着しちまって、人以上に大事にされてさ」化け猫は壁で爪を研ぎ始めた。「どの猫もどの猫も、すっかり軟弱になっちまった。行灯の油なんて知らないとか、ネズミなんておっかなくって手が出せないとか、こんなに快適な暮らしをさせてくれる人間に災いを与えるなんて出来るわけがないとか、……これじゃ後を継がせるヤツがいないって事になるんだよ。絶滅さ!」
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