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 「では行って参る」 「はい。 お気をつけて」  山里離れたマツの家に化け物退治に馳せ参じた清十郎が訪ねてきたのはもう幾月も前。 「……何故あの男は私を抱かぬのか」 独りでいるのは嫌だとすがりついたのは自分だが、夫婦として過ごし始めたにも関わらず自分に指一本触れぬ清十郎の背を眺め立ち尽くすマツ。 暫く猟へと出かける清十郎の背を見送り思いを馳せたがくるりと踵を変え家に入りカタカタと静かに戸を引く。
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