修学旅行〜沖縄〜

3/7
前へ
/171ページ
次へ
「若」 車が止まると同時に見えた永遠の姿に 嬉しくて苦しくて胸が熱くなる それを深い呼吸で抑えながら 開かれたドアから降りた 「大吾、サンキュな」 「ありがとうございます 楽しんできてください」 笑顔のやり取りを見ながら ワガママを溢さないように唇を閉じて笑顔を作った 「千色、久しぶり」 トランクを持ってくれた永遠は 空いている手をこちらへ差し出した その手をウッカリ取ってしまいそうになる気持ちに喝を入れた 「大丈夫、色々と難しいから 帰ってからにするね」 「・・・そうか」 上手に笑えているだろうか 私を見下ろす永遠の瞳が優しいことを確認して隣に並んだ 「「「キャー」」」 少し離れた場所にある入り口から いつも永遠を囲んでいる女の子達の歓声が上がった 「チッ」 忌々しそうな永遠も直接的に彼女達を追い払うようなことはしない それは、そうすることによって 陰で私を危険に晒さないようにする配慮から・・・ 女の子の妬みは際限がない 分かっている・・・ 頭の中では分かっているのに・・・ どうしてこう上手くいかないんだろう 「「「永遠様〜」」」 アイドルか何かの追っかけのように 一定の距離を保ちながらも決して離れない彼女達が近づいてくるのを見ながら 「永遠、トランクありがとう」 嫉妬の目を向けられる前に離れることにしたのは私のほうだった
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4449人が本棚に入れています
本棚に追加