修学旅行〜沖縄〜

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「・・・あぁ、悪りぃ」 立ち止まった永遠を見ることなく 永遠の温もりが残っている持ち手をサッと引いて早足で女の子達の集団を避けるように空港ロビーへと足を向けた ・・・ハァ ギリッと噛み締めた奥歯と握り締めた持ち手 力の入った肩に負けないように顔を上げた 視線の先にある長いエレベーターに向かう足は どこか雲の上を歩くように感覚がおかしかった 「「まるちぃ」」 エレベーターを降りて集合場所へと進めば可愛らしい二人が手を振って待っていてくれた 「おはよう」 「おはよ〜」 「はよ、まるちぃ永遠は?」 永遠が私を出迎えたことを知っているのだろう 琴ちゃんが首を傾けている 「ん、会ったけど・・・ 囲まれる前に置いてきちゃった」 軽く答えれば胸のモヤが晴れるかと思ったのに 口にした途端ツキッと痛みが走った気がした 「あ〜、あれよね」 そう言って優羽ちゃんが視線を移した先を追えば 永遠と同じように囲まれている堂本君と郡君が見えた 「何もしないのも残酷なのよ」 ポツリと溢した優羽ちゃんの声は少し震えていて 堂本君とまだ付き合ってはいないものの 気持ちの上ではもう彼女なんだな〜と思った Nightの面々を囲む女の子達にもルールはあって 東白では教室や食堂の中には理由もなく入って来ない ただ・・・ 学園の生徒以外で取り囲む女の子達のほうがタチが悪くって 時々、永遠がキレたりすることもあるらしい “離れろ”と怒鳴る程度のものから 絡まれてチームの子が引き剥がすこともあると聞いた 「ま、あんなの放っておいて 沖縄楽しもうね〜」 優羽ちゃんはクルリと此方に向き直るとパチンと手を叩いてポニーテールを揺らした
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