修学旅行〜沖縄〜

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あっという間に抜けるような青空の広がる島に到着 気分も上々〜 なんて楽しい旅行ではなく 個性豊かな生徒達をいかに安全に楽しませることができるか 引率の先生達の緊張感が伝わってくる その渦中から一歩引いた私に 「丸山先生、宜しくお願いしますね」 何故か飛行機も隣、バスも隣の席 滞在のホテルは部屋まで隣の理事長から声がかかった 「あ、はい。こちらこそ 宜しくお願いします」 丁寧に頭を下げる 「修学旅行は引率の先生より 丸山先生の方が大忙しだと思いますよ」 ハハハと乾いた笑いでそう言って バスへと乗り込む理事長の背中を見送った 「・・・・・・は?」 私の方が忙しい? あれかな?運動会のような感じだろうか? 答えもおぼろげなまま消えた背中を追うようにバスへと乗り込んだ そして・・・ 「丸山先生!お願いしますっ」 「丸山先生っ」 「まるちぃ〜絆創膏ある〜?」 「丸山先生、病院へ連絡を!」 バスが止まって観光へと進む一行とは真逆の行動をとる私 ・・・忙しい 水族館も・・・記念碑も・・・ 展望台や鍾乳洞に博物館・・・ 此処へ着いてからの私は 抜けるような青空の下で汗を拭うことしかしていない 「丸山先生、薬ありますか?」 救急箱と化した持ち出し用のトランクは常にスタンバイ状態で いつの間にかバスが止まっても降りない選択をする自分 「先生が一番忙しそう」 そう言って笑ったバスの運転手さんとはお喋り友達かと言うくらい馴染んだ 観光中はそんな感じでホテルに着いてからは先生方との打ち合わせ 夕食の時間には誘導のお手伝いに点呼 自分達の食事は早食いバトルのように流し込むだけで精一杯 夕食後のフリータイムも先生方に呼び出されてホテルのラウンジで打ち合わせ兼飲み会 時折、永遠の姿を女の子達の囲みと共に見掛けるだけで ゆっくり言葉を交わすことが無くなっていた
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