お嬢は一途?

5/10

4347人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
「いいか?幾ら小さくても 土岐組は代々三ノ組に支えてきた古参 口喧嘩では終われねぇ ちぃの思いつきで命を落とすもんが出たら寝覚めが悪りぃだろ」 「凱は・・・私のことが嫌い?」 私は出会った頃からずっと凱のことが好き 「諦めろって・・・言うの?」 ポロポロと溢れる涙を 「・・・ちぃ」 躊躇いがちに伸ばしてきた凱の指が掬った 「ちぃの気持ちは嬉しい でも俺は、ちぃをお護りする護衛 ちぃの為に生き、ちぃのために死ぬ それは許婚が決まったちぃのため 自分がちぃと、なんて望んじゃいけねぇ」 そう言うと涙を拭っていた手が頭の上に乗り 「でも、ありがとうな 何処の馬の骨だか分からねえ俺を 好きだと言ってくれて」 ポンポンと撫でてくれる大きな手は いつもと同じで温かかった 「化粧直しするだろ」 泣いてしまった顔を覗き込んだ凱は ドレッサーの椅子を引き出した 「さぁ、気持ち切り替えて 今日の面接試験を頑張ること!」 ニッコリ笑うと 就活用に買ったやたら大きなバッグを手に取った 「どうせ受かるんだもん」 「縁故だとしてもあちらは一ノ組の息がかかった東白学園だ 失礼があっちゃなんねぇ」 スッと細められた目に 甘い心根を責められた気がして 降参とばかりに両手を小さく上げた
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4347人が本棚に入れています
本棚に追加