お嬢は一途?

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「美人見ーっけ」 「・・・は?」 小休憩も終わって携帯電話で時間を確認していると ベンチの隣に男性が座った ・・・気配がしなかった 軽い声に驚いて隣を見上げると 「もしかして・・・面接?」 「・・・・・・は、い」 「へぇ〜」 リクルートスーツを着ているだけで判断したのだろうか ジロジロと私の全身を観察するように視線を動かす男性に 居心地が悪くなった 「メガネ・・・度が凄いね」 少し厚いレンズを観察しながら 「いつもはコンタクトでしょ?」 簡単に見破るところも食えない 「生え際ハゲるかもよ?」 髪は後ろで引っ詰め縛り 就活の模範生のような格好を 少しずつ揶揄っては笑う ・・・やな感じ 「ここの面接は軽いから ゆる〜く構えてたので良いよ〜」 全く当てにならない情報に 相槌を打つことをやめた 離れた校舎を指差しながら 「ここを真っ直ぐ行った あの入り口を入ったところが事務局 じゃあ健闘を祈ります」 一見すると爽やか風の男性 口を開くと馴れ馴れしい 先生だろうか? “失礼があっちゃなんねぇ” 一ノ組絡みの東白学園(ここ)を思い出して 「ありがとうございます」 模範的な微笑みを向けた 無理して笑うもんじゃないわ 頬がピクピクしてる 面接だというのに 出鼻を挫かれた気分になったところで 「じゃあね〜」 ヒラヒラと手を振って 嫌味に長い脚を使って颯爽と校舎へと消えた男性の背中から視線を戻す 「さぁ、行きますか」 10分前が鉄則よね 携帯電話の電源を落として 事務局へと向かった
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