お嬢は一途?

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・・・・・・ ・・・ ・ 「本日はありがとうございました」 「お疲れ様でした」 仰々しいほどの 重厚な扉から出ると 肩に入っていた力が一気に抜けた 「・・・・・・ハァ」 広い廊下の真ん中を歩いて 昇降口を目指す 今まで居た理事長室もそうだけれど この学園は“木”が多く使われていて 暖かな印象を受ける 白夜会の母体が経営している東白学園は 凱から聞かされた情報によると 一ノ組堂本組の息子と娘 ニノ組郡夜組の息子 三ノ組木村組の息子 更に傘下の組の子供やNightと呼ばれるチームの面子が通っているらしい 「不良校じゃん」 それにしては綺麗な校舎 観察しながら階段を降りると 「お帰り」 凱が待っていた 「ん?連絡してないよ?」 「あぁ、用事が済んだから とりあえず寄ってみただけだ」 「そっか、ナイスタイミング」 大したこともしていないのに 力の抜けた身体はダルくもあり 迎えの待ち時間がないだけで 充分幸せだ 「ちぃ、帰りに飯食って帰ろう」 車寄せまで凱と並んで歩きながら 食事に誘われたことに驚いた 「え?・・・良いの?やった〜」 単純な私は急に上がったテンションそのままに喜んだけれど 「どうぞ」 後部座席のドアが開けられ 乗り込もうとした瞬間 見えたシルエットに 「・・・っ」 その誘いが私へ向けてだけではなかったことに落胆した
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