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-8-「未知を解き明かす」
【雑記 その3】
詠子
「概略としては、オカルトも法律で基本的人権が認められましたよってところでしょう。
ただ、課題は山積みですよ。どうやってオカルト取り締まるってんですか。オカルト自身にも警察に入ってもらわないとですよね。」
西暦2018年、秋葉原にて、突如『黄泉の穴』と『運命界の門』と呼ばれる異空間へのゲートが出現。
『黄泉の穴』は日本神話上の死後の世界に通じるものとされ、専門家たちの活躍により封じ込めが成功した。
『運命界の門』は、こちらの世界と似て非なる異世界に通じるものとされ、その後は両世界の政府とベンチャー企業FrontierTechnicsの先導により、『異世界人』との平和的な交流が為された。
この事変から、新たに『神』と呼ばれる人類と自然を管理する上位存在、『妖怪』と呼ばれる人類の精神的ゆらぎにより生み出された怪異存在が名乗りをあげる。
この三種族は人類と同等か、それ以上に理性的であり、人類との和平を望んでいたことから、各種族の代表らの意見を交えた上での『オカルト基本法』が制定された。
これにより、各種族には人類と同等程度の権利が与えられることになる。
ただし、各種族の持つ性質を省みた合理的配慮は完全ではなく、現在も法改定が進行している。
例えば、異世界人には翼を持つ種族もいるが、彼らには航空法が適用されるのか?
神族には過去を改変する能力があるが、時間犯罪を取り締まる法をどう作り、どう取り締まるか?
妖怪族が持つ、他種族に害を与えうる諸能力に対する法の制定をしたとして、その超科学的な能力に対してどのように取り締まるのか?
課題は山積みである。
また、この三種族以外にもオカルトは存在している。
しかし、そのオカルトは必ずしも『理性的存在』ではなく、和平を望む様子もないことから、たびたび悩みの種となっている。
例えば、『霊体』。
彼らは目的があったりなかったり、害を与えたり益を与えたり、様々である。
現在は、これまで通り、神族と妖怪族にその対応を依頼せざるを得ない状況だが、早急に法の制定をする必要がある。
【おわり】
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