エピローグ

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 二年前、(しょう)は死んだ。あの後、彼は憑き物が取れたかのように明るくなった。透にサッカーを教え、自分のシューズやユニフォームを譲って懸命にサポートした。  だが、その気丈そうな姿は無理に明るく振舞っているようにも見えなくはなかった。  それを裏付けるかのように、象はふとした時、貧血で倒れるようになった。  原因はストレスだった。  『自分のため』にしていた努力が『人のため』に変わっただけで、実際のところ彼の負担は少しも軽くなっていなかったのだ。  結局、透がプロ入りしたのを見届けてすぐ、象は倒れた拍子に頭を強く打って亡くなった。
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