エピローグ

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 どうすればよかったのだろう。  ふとした時、漠然とその問いが頭を過る。  あの時は、この選択はきっと間違っていないはずだと信じていた。  けれども時折、象の瞳の奥に垣間見える燐光が体中に咲いた痣を連想させて怖かった。  この選択は間違っていたんじゃないかと思わせるほどに。  その事実を信じたくなくて、恐怖から逃れたくて、微かな闇を見て見ぬふりをしたからこうなってしまったのだ。恐れずに立ち向かっていれば、兄を救えたかもしれないのに。  そう思いながら頭のどこかではこれでよかったのかもしれない、とも思う。だって、あの日「ありがとう」と言ってくれた嬉しそうな笑顔を、裏切ることなどできるはずがなかった。  そしてまた、同じところに行き着く。  じゃあ僕は、どうしたらよかったのだろう?
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