そして私は今日も叫ぶ。

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 あと15分。  私は必死だった。15分後に、己の人生を賭けているのだから。  あと10分。  眼前に火花が散る。さすがに、限界が近い。  まだだ、まだ倒れるな! ここで倒れたら全てが水の泡だぞ!!  あと5分。  歯を食いしばり、目の前をギッと見据える。この日のために、一体どれだけの犠牲を払ってきたことか……。  諦めるわけにはいかない。  切り捨ててきたもののために、何があろうと成し遂げなければならないのだ。たとえこの身が朽ち果てたとしても!!  あと1分。  己の全てを燃やし尽くす覚悟で、最後の一撃にありったけの力を込める。  そして―――― 「出来たあああ!」  書き上げた原稿を前に、感極まって叫んでしまった。実家ならともかく、ここは四畳半のボロアパートだ。下手をすれば隣から苦情が飛びかねない。  だが、その焦り以上に私は幸せだった。緊張の糸が切れたことによる安堵と、戦い抜いたという達成感が全身を突き上げる。  あと30秒。  この興奮が冷めない内に応募しようと、公式サイトを開く。 「…………締切、昨日だった」 ▶タイトルへ戻る  開き直る  燃え尽きる
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!