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「次は赤組対緑組です。出場する生徒はスタート地点に来てください。」
次の試合のアナウンスが流れ、周りの生徒たちがどんどん退場していく。
俺も続かなければいけないのに、少し動かしただけで激痛が走った。足首を見てみるとかなり腫れていた。
「わたるん、もしかしてさっき足捻った?」
前を歩いていた光が戻ってきた。途中で俺がついて来ていなかったことに気づいたのだろう。
正直に頷くと光は「そっか。じゃあはい。」と、しゃがみ込み背中をこちらに向けてきた。乗れということだろうか。俺は促されるままその背中に乗った。
「救護テントに向かうよ。」
「悪い。ありがとう。」
光はけらけら笑うと「気にすんな。」とだけ言い、俺をおんぶして歩き出した。
退場門へ行くには赤組が待機する場所を通ることになる。
そこを通る時に翔と目があった。翔は俺を見るなり驚いた顔してこっちに来ようとしたが、試合がまだあるためそれは叶わなかった。
パァンと試合開始の合図が鳴る。
翔の活躍するところ見たかったなと思いつつ運動場を後にした。
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