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「はい。これで終わりよ。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ、お大事にね。」
救護テントに到着し、捻った足の手当てをしてもらった。骨は折れて無さそうとのことだった。よかった。安心。
「よし、行こっか。はい。」
光はまた背中をこちらに向け、俺を背負おうとする。
さっきと違い周りに人がいるのが少し恥ずかしかったが、行きに背負われてるのを既に見られているんだ。気にすることはもうない。
俺は保健の先生にもう一度礼を言った後、光の背中に乗った。
俺たちは青組だ。だから青組の席へ向かうのは当たり前のことだ。
それなのに光は俺らの席とは別の方向に歩いていく。それどころかグラウンドからどんどん遠ざかっている。まさか運動場から出て行こうとしてるのか?
さすがに気になり俺は声をかけた。
「なぁ、光。どこ行こうとしてるんだ?俺らの席はあっちだぞ。」
「んー?」
いや、「んー?」じゃ何もわからないよ。
今も足の痛みが続いているため、降りることは叶わない。それに加えて光は何を言っても曖昧な返事しかしない。
俺はどうすることもできずに校舎裏まで連れてこられてしまった。
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