体育祭

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 「何やってんだ!このクソ野郎!」  誰かが怒鳴っている。これは光に向けての言葉だ。光はもう俺の上にはおらず少し離れた先で倒れている。怒鳴ってる人は後ろ姿で顔がわからない。  だけど、この声は、この後ろ姿は、知っている。何度も聞いて何度も見たことがある。間違えるはずがない。俺が大好きで大好きでしょうがない人。  「翔……」    思わず名前を呼んだ。翔は俺の声に気づくとすぐに駆け寄ってくる。  「渉、大丈夫……ではないな。  騎馬戦が終わった後、様子見に行ったら席にいないし、救護テントではもう戻ったて言われたし、他の奴らも居場所知らないし。まじで焦った。  助けるの遅くなってごめん。」  翔は俺の乱れた服を直しながら言った。ずっと俺のこと探しまわってたってことか。やばい、なんか心がムズムズする。  ふと、首元に視線を感じた。俺はとっさに手で隠した。きっとチクッとした時にキスマークを付けられたのだろう。  こんな格好でキスマークなんて付けられて何があったなんて一目瞭然だ。  恥ずかしいし情けないし悔しいし、もうわけわからないけど、翔が助けに来てくれた喜びと安心を一番強く感じていた。  「助けてくれてありがと……怖かった……」  翔は悲しそうな顔をすると俺の頭を自分の胸へ持っていった。
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