体育祭

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 翔の中に包まれる。めちゃくちゃドキドキして自分でも顔が赤くなっているのがわかる。  俺は赤くなった顔を隠すために翔の胸に顔を埋め、思いっきり抱きついた。  翔はそれを俺がまだ怖がってると思ったようで、俺の髪を撫でながら何度も「ごめん。」と呟いた。  翔。大丈夫だよ。今はもう翔とこうしていられる嬉しさしかないんだ。だから、もう少しこのままでいさせて。    なんて言えるわけがなく、俺は顔を埋めたまま「平気だから、謝らないで。」とだけ伝えた。  「なーに2人だけの世界に入っちゃってんの?俺のこと忘れてない?」  俺と翔はその声にはっとして光を見た。  光は俺たちのすぐそばに立っていて、いつもと違う冷たい目つきで俺たちを見下ろしていた。頬にはあざができている。きっと翔に殴られてできたのだろう。  光に背を向けていた翔は俺を背中に隠すように向きを変えると光と睨み合った。  「ねぇ、お前なんなの?いつもわたるんにくっついて本当に邪魔なんだけど。」  「お前、自分の方が邪魔だと言うことに気付いてないのか?可哀想なやつだな。」  「は?俺が誰といようが勝手だろ。お前は俺の交友関係を阻害してんの。」  「交友関係じゃねえだろ。現に今渉のこと襲ってたろ。」  「わかってんなら、アプローチさせろよ。わたるんの彼氏でもねえくせに。」  「……彼氏だったらいいんだな?」  翔はニヤリと笑うと俺を見た。
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