120人が本棚に入れています
本棚に追加
ゲイ。転校生くんは確かにそう言った。
俺も翔が好きだから特に偏見は無いが、いざはっきり言われると流石にちょっとびっくりする。
他のみんなもどう反応して良いかわからないようで教室内に妙な空気が流れる。
「先生、俺の席はどこですか?」
そんな空気を壊したのは転校生くんだった。
転校生くんは担任に席を教えてもらい、そこへ向かう。俺の前の席だ。
ふと、俺と転校生くんの目が合った。「よろしくね」と、そっと微笑まられ不覚にもドキッとしてしまった。
その後は担任がプリントを配布したり事務連絡をしたりして休み時間になった。
チャイムが鳴るなり転校生くんは後ろを向きイケメンスマイルで俺に話しかけてきた。
「ね、名前なんて言うの?」
「秋山渉。」
「いい名前だね!じゃあ、わたるんって呼んでもいい?」
「わ、わたるん?まぁ、いいけど……」
「やった!俺のことは光って呼んで!」
「お、おお、了解。」
ガッツポーズをして喜ぶ光。
正直きつい性格だと思っていたから驚いた。あだ名呼びを了承しただけであんなに大きい反応をするなんて。面白い奴なんだな。
ふふ、と俺は笑みをこぼしてしまった。
その笑顔を光がじっと見つめていたのを俺は気付かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!