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「帰るぞ。」
腕を引っ張ったのは翔だった。翔は反対の手で渉のカバンを掴むとそのまま教室を出て行く。
遠くなって行く光が何か叫んでいたが俺の耳には届かなかった。
「ちょ、HRは?!」
「とっくに終わってる。転校生なんかにデレデレしてっから気付かねえんだ。」
「で、デレデレなんてしてないし!」
「どーだか。あいつゲイって言ってたけど、口説かれたりしたのか?」
「そ、それは……」
「まじかよ……教室出る時あいつが『愛してるよ〜』とか言ってたぞ。」
「な、なんだよそれ!聞いてない!」
「んで、渉はどうすんだ。あの調子じゃ結構本気だぞ?」
「どうするもないもないよ!丁寧にお断りするだけ。」
「あっそ。」
「あっそってなんだよー!翔から聞いてきたくせにー!」
俺が好きなのは翔だ!
そう叫びたかったが、そんな勇気は無く胸に静かにしまったのだった。
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