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「俺が諦めないって言ったのも渉に向けてだ。だから気まずくなっても未練がましく2人の邪魔した。
……なぁ、俺があいつのこと好きだと勘違いしていたんだよな?だったらもう改めて返事を聞いてもいいか?」
心臓がすごい速さで脈を打つ。信じられない。これは本当に夢なのかもしれない。でも、この心臓の痛みが現実だと教えてくれている。
ずっと言いたかったことを、言いたかった人に言える。言っても良いんだ!
俺はどうにか心を落ち着かせようとした。けれど無理だった。
だから思いのままに叫んだ。
「好き!俺も翔のことが大好き!嘘でも付き合えて嬉しいかった。俺も幸せだった。本当はあの夜抱かれても良いと思った。でも、翔は俺のこと好きじゃないと思ってたから愛が無いのに抱かれるのは嫌だなんて女々しいこと思って拒絶してしまった。
ごめん!俺があんな態度しなければこんなことにならなかったのに!」
思いを口に出すとまた目に涙が浮かんできた。
翔はそれに気づくと俺をそっと抱きしめてくれた。俺も答えるように背中に手を回す。久しぶりの翔の匂いだ。安心する。
「謝らないで。元はといえば俺があんなことしたからだ。」
「ううん、翔は悪くない。もし今も恋人のフリ続けてたら、いつかは俺はしんどくなってたと思う。告白を勘違いしたのは俺だし。だからむしろ感謝。」
「ふっ。そうだ、渉はそういう人だったな。優しい渉が俺は大好きだよ。」
耳元で優しく囁かれた。俺は恥ずかしすぎて顔を見られないようにとさらに翔に抱きついた。
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