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「あいつ諦める気絶対ないだろ。油断も隙もねえ。」
翔が舐められた俺の耳を一生懸命拭きながら呟く。
正直かなり力が入っていて痛い。
でも、あからさまに怒っている姿に嬉しくなってついつい笑ってしまう。
「なに笑ってんの。」
「ん?なんか翔が可愛いなって。」
「は?可愛いのは渉だろ。」
「ちょ!さっきから言い過ぎ!それに可愛いよりかっこいいが良い!」
「諦めろ。翔が可愛いのが悪い。」
「なんだよそれー!」
「ははっ!なぁ、光以外のやつにも気を付けろよ。」
「いや、俺をそんな目でみる人はそうそういないと思うけど……でも、いたとしたら翔が守ってね。」
「もちろん守るが、ちょっとは自分でなんとかしろよ?でもまあ回りくどいことはしない分楽かもな。なんせ俺はお前の彼氏だから。」
彼氏。その言葉に懲りずにまた顔が赤くなる。翔がにやりと笑ってこちらを見ている。
絶対わざとだ。俺が照れる事ばかり言って反応を楽しんでいるんだ。
ムッと翔を睨む。
翔はごめんごめん、と全く反省の様子を見せずに謝罪すると、俺の肩に顎を乗せため息をついた。なぜか手で俺の腰あたりを撫でていてくすぐったい。
「どうしたの?」
「……ダメだ。俺、今渉に触れたい。これ以上にだ。大事にしなきゃって思うのに今すぐめちゃくちゃにしたい。こんなじゃあいつと変わらねえよ。」
物憂げな表情をしている翔は守ってあげたいとそう強く感じさせた。
俺は翔の頬を両手で包むとそっと口づけを落とした。
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