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転校生
別れを乗り越え新しい出会いが始まる春。
ひらひらと桜が舞う中で俺こと秋山渉(あきやま わたる)は新しいクラス名簿が印刷された紙を真剣に見ていた。
「やった!翔!俺ら同じクラスだ!」
「そうみたいだな。今年もよろしく。」
島崎翔(しまざき かける)は俺を見てそっと微笑んだ。
俺と翔は親同士も仲が良い幼なじみだ。
どちらかといえば目立たないタイプの俺と顔が良く嫌でも目を引く翔は、側から見れば不思議な組み合わせだろう。
でも実際は超仲良しでいつも一緒に過ごしている。今、同じ学校に通っているのも俺たちが離れたく無いとそう望んだからだ。
新しい自分たちの教室へと向かう俺は非常に浮き足立っていた。勿論、幼なじみの翔と同じクラスだったことが理由なのだが、俺にとってはただの幼なじみではない。
俺はもう何年も翔に片思いをしているのだ。でも、本人に伝える気は無い。仲の良い友達でいると誓っている。気持ち伝えて友達でいられなくなる方が嫌だしな。
そんな俺たちの関係がある1人の生徒によって変わることになるとは、この時は微塵にも思っていなかった。
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