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「ちょっと、ゆう!みつくん家が来たわよ、いらっしゃい!」
お母さんの呼ぶ声に、ゆういちろうくんはお父さんの顔をじっと見た。
「大丈夫だ。みつくんが何をしに来たのかはわからんが、みつくんはお前を責めたりはしない子だ。不安がらずにいってらっしゃい。」
頷きながら話すお父さんに、ゆういちろうくんも頷いて、ゆっくり廊下に顔を覗かせた。すると、すぐにみつあきくんと目が合った。
「よぉ!朝早くから悪いな。昨日言おうと思ったんだけど、中々言えなくて。」
ゆういちろうくんは、何の話かわからず首を傾げながら玄関に向かった。
みつあきくんのお母さんも一緒に来ており、ゆういちろうくんはペコリと挨拶した。
「おはよう。ごめんね、朝早くに。みつあきが言うなら今だって言い出して聞かなくて。」
「だってさ、こういうのって、そういう気持ち的なタイミングって大事だろ?なぁ、ゆう。」
「…あ、え、…ごめん、何の話かわかんなくて…。」
「あ、そうだよな、ごめん。…おれ、来週引っ越すことになったんだ。」
「…え?」
ゆういちろうくんは、目を丸くした。
「お父さんの仕事の関係で、北海道に行くことになっちゃったのよ。みつあきったら、まずはゆういちろうくんに話すんだって言ってたわりに、中々話そうとしないから一週間前になっちゃって…。ゆういちろうくん、今までみつあきと仲良くしてくれてありがとうね。」
みつあきくんのお母さんが、ゆういちろうくんにペコリと頭を下げた。
「…ゆう。引っ越す前にお前とまたサッカーがしたいんだ。これからやりに行かないか?」
みつあきくんは背中に隠していたサッカーボールを見せながら言った。
「う、うん。すぐに準備するよ。」
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