エピソード4 ゆういちろうくんの手紙

13/13
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「『まつもとゆういちろうくんへ ハローハロー!黄色いポストを信じてくれた君のために、君の質問に答えてあげよう。 ゆういちろうくんの質問は、親友と元のような関係に戻れますか?って書いてあったよね。 答えはイエスだ。その親友も同じことを感じてるているはずだ。君たちは互いに自分を責めている。その気持ちに間違いということは言えないが、相手と向き合って、相手の気持ちをもっと互いに理解してみよう。 そして、残念なことに親友とはしばらく会えない時間が続くだろう。その前に関係を元に戻せれば、何年後かに必ずまためぐり逢い、一生の付き合いになるはずだ。 最後にオマケ。ゆういちろうくんが今好きなことは、その親友に気遣うことなく続けよう。親友もそれを望んでいるよ。 参考になったかな。 また運良く黄色いポストを見つけたら、ぜひお手紙を入れてくれ。バイバイバーイ! へその丘の黄色いポストより』」 みつあきくんは、大粒の涙を流しながら読み終えると、同じく涙を流しているゆういちろうくんに手紙を渡した。 ゆういちろうくんが受け取ると、みつあきくんはそのままゆういちろうくんを強く抱き締めた。 「必ずまた会おうな。」 「勿論だよ。新しいまちに行っても僕のこと忘れないでね。」 「当たり前だろ。」 ビュンッ!! その時、二人を突風が襲った。 「「うわっ!」」 そして、風は嘘のように一瞬で止んだ。 「…な、何だったんだ、今の風…。」 「…昨日もあったな、こんな風…あ!」 ゆういちろうくんは、ふと黄色いポストがあった場所に目を向けると、そこにポストは無く、サッカーボールが置いてあった。 ゆういちろうくんは、駆け寄りボールを拾った。 「昨日、僕が黄色いポストに入れたボールだ。ほら!」 ゆういちろうくんはボールをみつあきくんに向けた。そのボールには、マジックで書いた質問がそのまま残っていた。 「すげぇな。紙じゃなくてサッカーボールに質問書いたのか!ははははは。」 「これ貰ってよ!」 ゆういちろうくんがボールをみつあきくんにポンと放ると、みつあきくんは両手でキャッチした。 「…あぁ。このボールでもっともっとサッカー練習して、次会う時にはびっくりさせてやるよ。」 「うん!楽しみにしてる。」 二人は涙を流しながらも、ニコリと微笑んだ。 今日も変わらずの透き通るような青空。 太陽の光は、涙で濡れたサッカーボールを照らし、二人の友情を表すように輝かせていた。 エピソード4 終
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!