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「ねぇ、おばあちゃん。へその丘の黄色いポストの話知ってる?」
中学一年生のよしのりくんは、妹で小学3年生のさきちゃんと居間でおやつを食べながらおばあちゃんに質問した。
おばあちゃんはお茶を一口啜ってニコリと微笑んだ。
「勿論だとも。おばあちゃんが子どもの時に立ったポストじゃ。」
「え?あのポストって誰かが立てたものなの?」
ひ孫二人の驚いた表情に、おばあちゃんは首を傾げた。ポストは人工物であり、誰かが立てたもの…普通のことであり、何故ひ孫たちが驚いているのか理解が出来なかった。
「…なぁにをそんなに眼(まなこ)まん丸にしてるんだい?」
おばあちゃんが尋ねると、二人は目を見合わせた。
そして、よしのりくんが話し始めた。
「だってさ、黄色いポストってずっと同じ場所にないよ。突然現れて、突然消えるんだって!それで、ポストに質問を書いた手紙を入れると、次の日に返事をくれるみたい。俺もさきもまだ見たことはないけど、見たことがある子は皆そう言ってるらしいよ。」
よしのりくんの話に、今度はおばあちゃんが目を丸くした。
「…へその丘の頂上にあるポストじゃないのかい?おばあちゃんはもう何十年もへその丘の頂上までは登ってはないが…、よしのりたちの話が本当なら、あのポストとは別の話かの…。」
「…別のポスト?」
さきちゃんが首を傾げた。
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