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心配そうに見つめる二人に、おばあちゃんは涙を拭って話を続けた。
「すまんな、思い出したらつい…。…あの丘の頂上に立てたのは、この町で一番見晴らしが良い場所で、一番思いを届けたい人に届きやすい場所…。おばあちゃんの願いは父さんには届かなかったが、勿論願い通り無事に帰ってきた者も多くいたさ。」
「おばあちゃんの願いはきっとお父さんに届いてたよ!!」
よしのりくんは、突然立ち上がりながら言った。
「よしのり…。」
おばあちゃんの目に映るよしのりくんは、目に涙を浮かべていた。
「きっと、黄色いポストが願いを届けてくれてたはずだよ!…でもさ、きっと願いだけじゃどうにもならないこともあるんだよ。…ありがとう、おばあちゃん。ツラい思い出を話してくれて。」
よしのりくんの言葉に、おばあちゃんは涙を堪えられなかった。
すると、さきちゃんが小さな声で言った。
「きっと、今の黄色いポストは、おばあちゃんみたいな、願ったとおりにいかなかった人たちの気持ちがつくったんだ。」
よしのりくんとおばあちゃんは、さきちゃんの言葉にハッとした。二人の視線を感じたさきちゃんは驚いた表情を浮かべた。
「え、な、なに?」
「…お前さんたちの話のとおりなら、今の黄色いポストは、子どもたちの質問に答えることが、ある意味願いを叶えてあげてるってことになるのかもしれないねぇ。…そう考えると、確かにさきの言う通り、おばあちゃんと同じような人たちの無念が生み出したのかもしれないなぁ。」
「…色は何で黄色なの?」
さきちゃんが質問した。
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