エピソード5 ポストの秘密

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おばあちゃんはニコリと微笑みながら答えた。 「それは、遮るものが何もないあの頂上で、朝の陽に照らされた黄色いポストは黄金色に輝いて見えた。まさに希望を表していたよ。それに、夕の陽に照らされたポストは、夕陽を日の丸に例えると、それに重なる黄色いポストはその中に一点の輝きをもたらしてくれた。それは日本の勝利を祈ってたんだ。…あのポストが赤じゃなく黄色いのは、そういった造った人たちの思いを表した色なんだよ。」 「…噂の黄色いポストにそんな話があったなんて初めて聞いたよ。…噂だとさ、黄色いポストに会えるのは子どもだけ、それも小学生までなんだってさ。…だから、中学生の俺はもう会えないんだ。…さきは、ポストに会ったら何か聞きたいことあるのか?」 よしのりくんががっかりした表情でさきちゃんに聞いた。さきちゃんは、よしのりくんの目を見て、しばらく考えてから答えた。 「うーん、考えたことなかったな…。でも、今のおばあちゃんの話を聞いて、戦争って絶対にダメなことなんだって思ったから、“どうしたら世界から戦争を無くせますか?”かな。」 「お前、凄いな。自分のことじゃなくて、世界のことなんて。」 「世界のことは、私のことに繋がるでしょ?私だって戦争は嫌だもん!」 「…兄ちゃん負けたわ…。」 おばあちゃんは、二人の会話を微笑みながら頷いて聞いていた。 エピソード5 終
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