写真とか思い出とか

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写真とか思い出とか

私が写った写真は、ほとんどない。 それは子供の頃からずっと。 カメラを向けられて、面白くもないのに『笑って!』と言われて 笑えないと『可愛げのない子だな』と言われ。 今なら愛想笑いもできるけど、子供の頃はとにかく写真嫌いだった。 向けられたカメラを取り上げて落として壊した。 それからは、身内は誰も私にカメラを向けなくなった。 写真が嫌いなのは大人になってからも変わらず、友達と遊びに行っても引きつった笑顔の写真を撮るのがやっとだった。 子供が生まれ、子供の写真は多少撮ったが よそのお宅に比べたら断然少ない。 だから、アルバムにまとめることもなく、乱雑に箱に入れてある。 子供達は、中学生になったころにはカメラ付き携帯なるものを持たせていたし、プリクラも全盛期だったからそこそこ写真はあるみたいだが。 俳優夫婦が、終活として数万枚の写真を処分したとテレビで言っていた。 たしかに遺されても家族も困る。 私も厳選したやつだけにして、処分してしまおう。 思い出は、大切なやつは写真なんか見なくてもおぼえているし 写真があっても、思い出せないこともある。 私の基準で、私の心の中に残しておくことに決めた。
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