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ザ・ロボティクス・スピリット
20XX年。世界大戦は激しさを増し、地球全体を戦火に巻き込んでいった。
世界中の物資は不足し、それは日本も例外ではなかった。
補給船Xは、使い古された旧式の設備を搭載し、すでにスクラップになってもおかしくはないほどであったが、いまでも空を飛び、任務に就いていた。
クルーたちは、大して戦果が挙げられない船に対して不満を持つものもいたが、船長を中心としてまとまったチームであった。
現在、Xは味方基地で船の修理をしていた。
エンジニアたちは、部品が古すぎて型番がすでにないことに愚痴を言いつつ、愛着を持って船の修理に当たっていた。
そのころ、補給船Xの船長は基地の上官より極秘任務を与えられていた。
それは、海外にある味方基地へ秘蔵の燃料を運搬するミッションであった。
その燃料は世界中でも非常に貴重で、それがあれば敵の前線基地一つを吹き飛ばし、日本に不利な戦況をひっくり返すことが可能であった。
船長たちは、自分たちの船の設備が整っておらず、敵襲に会った時に反撃できないことに不安を感じていた。
上官はそのことは無論承知しており、補給船Xは、敵の目をくらますためのおとりであると語った。
Xには、ダミーの燃料を少量のみ搭載するとのことだった。
敵艦に燃料輸送艦であると悟らせるためには、極秘燃料を薄めたダミー燃料を搭載する必要があるとのことだった。
その燃料は、敵に奪われたところで、日本の技術で不純物が多く混入させたもので、敵国での利用価値はないとのことだった。
上官の作戦では、燃料を搭載した船を複数艦同時発信させ、その情報を敵に悟らせるという。
そこから追ってきた敵の戦力を撃破する、というのが本当の目的であると語った。
船長はなおのこと、自分たちの艦ではなおさら力不足、クルーをむざむざ殺しに行くようなことは引き受けられないと苦言を呈した。
上官は、敵艦を撃破するための戦力として、最新鋭の戦闘ロボットAを配置する。
引き受けてくれないかと頼んだ。
船長は、現在日本の厳しい状況も把握しており、苦肉の策であったのであろうと察して、その作戦を引き受けた。
船長は、艦に戻り、仲間にダミーであることは伏せ、燃料運搬のミッションを伝えた。クルーたちは、珍しい重要な任務に沸き立った。
クルーたちは、軍人として国に貢献できるミッションに参加できることを誇りに思った。
新しく戦闘ロボットとクルー二人が、補給船Xに配属された。
ロボットは2人一組で捜査できるいわば相乗り型で、国で開発された最新技術を詰め込んだ、切り札であるとのことだった。
クルーたちは、アットホームな雰囲気で二人を迎えた。
彼らは、この船の設備は古いが、クルーの国に貢献したい気持ちはどの船の連中にも負けてない、これから一緒に頑張ろうと新人を励ました。
補給船Xは任務のため、発進した。
敵国への秘密裏の通信回路で日本から秘密燃料が持ち出されたとの連絡が入っていた。
敵国は候補の艦が複数艦あり、そのうちのどれかが星であろうというめぼしをつけていた。
敵国は、日本の誘導作戦に気が付きつつも、自国の強靭な戦闘力ですべての艦を押さえれば問題なかろうと、それぞれの船に追っ手を発進させた。
補給船Xに迫る敵国の艦があった。
それは、敵国で蛇のような執着心を持つことで有名な軍隊の船だった。
その船に睨まれた補給船は、生きては戻れないという噂が世界に響き渡るほどであった。
Xのクルーたちは、思わぬ大物の追跡に息を飲み、不安な気持ちになった。
船長は今こそ、国のために任務を達成するべき時、ここが踏ん張りどころと言って、クルーたちの士気を高めた。
補給船は旧式であったため、みるみる間に敵との距離が詰められていった。
もはや補給船Xの勝ち筋は、敵が自分の旧式の船を侮って油断したすきに相手をたたくという点のみであった。
船長は、新人クルーたちに出動を命じた。
新人クルーたちは、ロボットに乗り込んだ。
彼らの任務は、敵船を撃破すること、あるいは補給船Xを敵の視界から遠ざけ逃すことだった。
クルーたちの期待を一身に背負って、ロボットは戦闘するが、その性能は他の旧式ロボットと大して違いが見えなかった。
かろうじていえば、スピード機動力、攻撃力が新式レベルで高い程度であった。
新人たちの操作するロボットは、補給船Xを敵の目から隠すための支援能力を主に展開して戦った。
最後、新人ロボットたちは、ロボットのエネルギーを一撃に集中させて、敵戦闘ロボットに的確なダメージを与え、撤退させることに成功した。
かろうじて、敵の奇襲を逃れることに成功した。
補給船Xは戦闘の後遺症で、破壊された箇所が何か所かあった。
船長は、補給船を近くの同盟国基地に寄港して、修理する方針に切り替えた。
補給船Xは、エンジン部の損傷があり、海を低空飛行で進んでいた。
同盟国基地に到着するまで敵の追ってが現れないことをクルーたちは祈っていた。
そこに、同盟国より、誘導の船が現れた。
その船たちは、主の船を基地まで案内すると船の前を走った。
クルーたちはこれで一安心と船の後方に追従した。
しかし、補給船Xは大洋のど真ん中に誘導された。
クルーたちは不審に思い始めた。
すると、同盟国より、搭載している燃料を引き渡すようにとの通信が入った。クルーたちは動揺した。
日本から燃料が発信されたことを知ったのは、敵国だけではなかった。
周囲の同盟国にまで情報は知れ渡り、自国でその燃料を手に入れて戦闘を有利に進めたいと願うのは同盟国も同様であった。
情報のリーク元は敵国であった。
敵国が同盟国に協力を要請したのであった。
同盟国は戦況から判断して、敵国につく方が自国に有利になると判断していた。
補給船Xは思わぬ同盟国の裏切りに、息を飲んだ。
同盟国は穏便に話し合いに応じてくれれば、クルーの命まではとらないと約束を持ち掛けた。
船長はクルーの命と燃料と秤にかけることになった。
しかし、この戦下では同盟国の指示に従ったとしても、秘密任務に就くクルーの命の保証は期待できなかった。
とはいえ、補給船の損傷状況から、敵から逃れることができるほどのスピードが出るとは思えなかった。
追い打ちをかけるように敵国の船が近づいてきているとの報告が入る。
もはや艦が無事にこの状況を打破する方法は見つからなかった。
意気消沈するクルーたち。
そんな時、新人クルーたちは、許可が出るなら自分たちがすべて敵を破壊してみせると提案した。
クルーたちは、先ほどの戦闘から無理だと止めた。
新人たちは、敵を倒すために船に搭載しているダミーの燃料を少量使う必要があると申告した。
船長は、背に腹は代えられぬと、ダミーの燃料を使うことを許可した。
新人ロボットは、燃料を搭載し発進した。
いまや補給船Xは、敵国・同盟国の艦船に囲まれる状況となっていた。
ロボットは、敵艦船上空に到達した。
その巨体から強烈な閃光が放たれたかと思うと周囲の艦隊を一瞬で跡形もなく破壊しつくした。
その状況に唖然とする補給船Xのクルーたち。
新人ロボットは、ダミーの秘密燃料を蒸留して、爆発的なエネルギーに変える破壊兵器であった。
補給船Xは損傷した状態であったが、かろうじて死線を超えることに成功した。
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