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「――新しい星には海が作られるといいますね」
長い旅の果てに辿り着く星の水たまりに、私はいつか身体の中に湛えた海を放ちに行くだろう。そこで聞く海のものたちの声はどんなものになるだろうか。
「山も作られますよ」
「きっとうんと後回しですけれどね」
おどけたように笑う。
いつしか静かに凪いでしまった海に、また、と告げた。また会いましょう、と。男性と手を振り別れながら、彼の内の風にもまた会いましょう、と約束をする。
新しい世界に水の音を届けに行こう。葉擦れの響きを教えに行こう。あの星に在ったものたちのすべてを、私たちはきっとまた新しく響かせ合うのだ。
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