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プロローグ
車の走る音と人々の声と足音。路上でたった1人ギターと歌う彼の声は雑音でかき消されていく。
重め、長めの前髪から覗く彼の鋭い視線は楽譜の入ったタブレットに向いてて。でもたまにそんな姿をうっとりと見つめる僕と、息を吸う時に目が合う時がある。ほら、今も。
揺れた銀色のピアスだとか、首元まで服で覆われているのに何故かまくった腕からは色気が感じられた。歌う時に少しニヤけるのも好きで仕方がない。
路上で歌っているのに足を止めているのは僕だけで。彼はみんなに歌っているはずなのに僕に向けて歌っているように思えた。
有名じゃない君だからこそ、僕が独り占めできる。
君のファン第1号はきっと僕。
もっとその歌声を、聴かせてください。
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