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「え?いや、そりゃあ…」
だけど、それを口に出すことはなんとなく憚られた。願いが叶わなくなってしまうからではない。ただただ恥ずかしかったから。
俺は真央と視線を合わせた。彼女の頬は少しだけ紅潮していた。
ああ、そうか。彼女も…。
「真央と上野と…」
俺は照れを隠しながら確認をするようにゆっくりと口を開いた。
「大和くんと梅田さんが…」
真央も同じ調子で言葉を紡ぎ出す。そして、もう一度お互いに視線で合図を送り合い、目の前の少女に向きなおった。
「幸せになりますようにって」
その瞬間、目の前の幼子は一転満面の笑みを浮かべた。それを見て俺はできれば本人の笑顔を見たかったと思った。
そして、梅田から「なんかよくわからんけど、めちゃくちゃ幸せな気分なんやけど!」という電話がかかってきたのは、そのすぐ後のことだった。
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