第25章 気持ちは誰に向いてる?

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にゃぁーーー 
その声は鳴り止まない。それはまるで俺を呼んでいるように聞こえた。こういう時、大体が自意識過剰であることが多いということは自分でもわかっているつもりだけれど、この時ばかりはそうとしか思えなかった。
 だから、俺は迷わずその声のする方を探した。
 ここはこの近辺では唯一の公園だが、それなりに遊具の数も豊富だし、広さもなかなかのものだ。奥には野球グラウンドも併設されていて、休日などはよく草野球の試合が開催されている。
 校則で、外に遊びに行くのは家に帰ってからというように確か決まっていたはずだ。しかし、中にはその言いつけを守らないで寄り道して帰る子どももいるようで、明らかに小学生だが、確実に今の俺よりは年上の小学生たちがランドセルをその辺にほっぽり出して遊びにふけっていた。
 しかし、今はそんなことはどうでもいい。
 にゃあああ
 またしても例の鳴き声が聞こえてきた。遊んでいる小学生たちを横目に俺は公園内をうろうろと歩きまわる。
 だんだんとその鳴き声が近くなってきた。
 そして、遊具などが置かれている場所から少し離れた茂みのところにまで近づいた時、その鳴き声に俺は最接近したようだった。俺は躊躇なくその茂みに入り込んで行った。
 「太郎、おまたせ」
 自然と口からはそんな言葉が出ていた。それは自分の言葉なのに自分の言葉じゃないみたいだった。
 茂みの中にある湿気を吸いきった感のある段ボール箱の中にはタオルが敷かれてあって、その上にちょこんと乗ってこちらを見上げているのは一匹の猫だった。
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