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「大和、帰ってきて」
抑揚のない、だけどその中に120パーセントの感情が込められたような声。
「大和!そっちに行ったらあかん!戻ってきて!」
声そのものから全ての感情が伝わってくるようなその音は、何故だかとても心地がいい。
「大和様」
そして次に聞こえてきたその声に、俺の胸は一段とトクンと弾んだ。
「帰ってきてください」
シンプルなその一言に、俺の目からは知らず知らずのうちに熱いものがあふれていた。
眠ってしまってはいけない。
俺がいなくなって悲しんでくれる人がいる。
「う…うあああ!」
気づけば叫んでいた。そして、強く願っていた。
みんなに…会いたい!
そのみんなが誰なのかは全然わからないけれど、それでも絶対に会いたい。会わなければいけない。
願えば願うほど、体のうちから何か熱いものが込み上げてくるのを感じた。
そして、次の瞬間には、あたりの空間は白い光によって包まれていた。
それはいつか見たことのある光景だった。しかし、それは似て非なるもので、実は全く違っていた。
その光は今目の前に広がっている世界に少しずつ色をつけていってくれているように見えた。
その色は俺に大きな安心感をもたらし、徐々に出来上がっていく世界は俺に希望のようなものをもたらした。
気がつくと俺は再び目を瞑っていた。しかし、その行動は先ほどのものとは意味が全く違った。
大丈夫だ。俺はまた、あそこに戻ることができる。
この大きな信頼感は誰に対しての、どんな理由があってのものなのかは正直わからなかったけれど、それはどこか懐かしくそして心地の良いものだった。
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