第26章 幸せになってほしい

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いつかと同じように、例の大きなテーブルの前でコーヒーをご馳走になっていると、俺のケータイに梢から連絡が入った。 
そこには俺が依頼していた件が完了した旨を知らせる文が表示されていた。
 俺は上野に一言断ると、玄関まで小走りで移動し、扉を開けた。扉から十メートル弱離れた門の前に二人の少女が立っている。梢と梅田だった。
 俺は靴を履いて門のところに先ほどよりも速度を若干あげた小走りで移動した。あからさまに仏頂面している梢の機嫌をこれ以上損ねないためだ。
 「悪かったな梢」
 開口一番、彼女に謝意を表したが、彼女は唇を尖らせてそっぽを向いた。
 「まだ怒ってんのか?」
 「当たり前じゃん。腐れ童貞兄貴の分際で私を使いっぱしりにするなんて、お父さんに言ったらどうなると思う?」
 俺の言葉に梢はさらにふくれっ面を強化させて、今度はこっちを睨んできた。睨むといっても憎しみからというよりは、拗ねてそうなったという感じだ。残念ながらただただ可愛いだけなので脅しにも何にもなっていない。
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