第26章 幸せになってほしい

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「どうした?」 
「う、ううん。なんもないよ…」
 その表情はほんの少しだけ沈んでいるようにも見えた。俺は何か変なことを言ったのだろうかと気にはなったけれど、今はなんとか気持ちを切り替えた。
 「とりあえず入るか」
 「うん」
 俺の言葉に梅田の顔は若干引き締まった。
 そういえばいつか彼女の友人が彼女を人見知りと形容していた。最初はこれから初めて出会う上野に対して気を張り詰めさせているのかとも思った。しかし、今彼女が抱いている緊張感はそういった類のものではないと思った。
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