第26章 幸せになってほしい

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そして、そんな様子を見て、俺のほうは密かに一人胸を高鳴らせていた。だがそんな中、一切動じる様子を見せない上野のメンタルは一体何でできているのだろうか。 
やがて、どちらからともなく二人の顔がゆっくりと接近し始めた。そして、その距離は緩やかなスピードで縮まっていき、まもなく二人の唇は柔らかく重なった。
 興奮しなかったと言われるとそれは嘘になる。が、そんな感情はすぐに消え去った。
 すぐに彼女ら二人の体が光り出したのだ。その優しくも激しい明かりはあっという間に部屋の中を覆い尽くした。
 数秒間の長い長いキスだった。眩しくてほとんどその様子は見えなかったけれど、しばらくして光量が落ちてくると、上野の方から唇を離した。
 すると、まるでドラキュラに血を吸われた人間のように梅田はその場にぐったりとへたり込んだ。
 「おい、大丈夫か!?」
 「う、うん…平気」
 顔色が悪いというわけではないが、その全身からエネルギーが奪われてしまったかのように梅田はぐったりとしていた。
 俺がそちらに近づこうとすると、上野がそれを制する。
 「相当な力をもらったからしばらくはクラクラすると思う。あんまり動かない方がいい」
 対照的に上野の方は、先ほどと特に様体が変わった風には見えなかった。彼女の言うことが本当ならば、梅田の力が今上野に移った状態ということになるのだが…。
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