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俺は静かに嘆息する。そしてコーヒーを一口口に含んだ。
「その割には高校の時付き合ってた高岡さんとは2年続いてたじゃないか」
と、ここで透の動きが止まった。そして、妙にシリアスな表情を浮かべた。
「ああ…。あんときはなぁ、なんでか続いたんだよな。なんでだと思う?」
それはまるで自分ではない人物のことについて述べているような言い方だった。
「俺が知るかよ」
そこに若干の違和感を抱いたけれど、特に掘り下げる必要性を感じなかったので俺はそう言って一蹴する。
「つーか、こちとら就活でそれどころじゃないんっだって。お前だって同じ立場だろーが」
「俺、3社から内定もらったぞ?」
「はあ!?なんだよそれ!聞いてねぇぞ!」
「言ってねぇからな」
俺は大きなため息をついて肩を落とした。こちとらついさっき30枚目の不採用通知が届いたばかりだというのに。
「なんつーか、お前はもっとこう遊んどくべきだったんだよ、大学時代に」
透はこちらを人差し指で指しながら、メロンソーダのストローに口をつけた。そのような所作に腹が立ったりしないのは、それなりの付き合いの長さによるものなのだと思う。
「それなりに遊んだけどなぁ」
俺が自分の大学生活を一人回顧していると、透は呆れたように嘆息した。
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