第27章 行かなきゃいけない

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「野郎とばっかりじゃねぇか。遊ぶってのは女と遊ぶことを言うんだよ。結局俺の合コンの誘い全部蹴りやがって」 
「合コンと就活がなんの関係があるんだよ」
 「大アリだね。今のご時世、社会は女性中心だぜ?女とどうコミュニケーションを取っていくかがこれからの時代大切になってくるんだよ。その辺をお前はサボりすぎた」
 「サボってたって言うのかそれは?」
 今、透に言われたことは過去に何度も言われたことがあった。同級生、先輩、教授、バイト仲間、ひどい時は後輩など…。様々な人から同じような指南を受けてきた。
 そのアドバイスが間違っているとは思わない。だけど何度同じことを言われても、俺は特に考え方を改めたり行動を起こしたりすることはなかった。
 「お前さぁ聞くの怖いんだけどゲイなの?」
 「なんでだよ」
 我ながらテレビでよく見る関西の芸人ばりに素早いツッコミだったと思う。透は軽い調子ではなく、かといって真剣に聞いているようにも見えなかったので、少なくとも本気でそう思っているわけではないようだったが、まさかそんな疑惑がかかるとは思っていなかったので反応に困ってしまった。
 透は空になったメロンソーダのコップに残った氷を口に放り込む。
 「高三の時、望月さんの告白断った時点でおかしいと思ってたんだよ。あの頃には望月さんもイメチェンしてものすごい美少女になってただろうが」
 望月さんという言葉を聞いて、俺の脳内の映像は一気に5年ほど前まで巻き戻る。俺からしたら望月さんは出会った当初から可愛く見えていたけれど、それでも徐々にイメージをチェンジしていったことは俺でもわかっていた。そんな彼女が高校3年生の春、あろうことか俺に告白してきたとき、最初は罰ゲームか何かなのではないかと思った。
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