第27章 行かなきゃいけない

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しかし、どうやら本当だったらしく、それを知った俺はごくごく普通に謝罪しその告白を断っていた。後になってそれを後悔したわけではないけれど、俺があの美少女を振ってしまうという状況に我ながら不思議に思ってしまう。まあ、今だから抱けるのんべんだらりとした感想ではあるけれど。 
「そういや望月さんとか斎藤君とか山内君とか、みんなどうしてるんだろうな?」
 「話を逸らすなよ。つーか知らねぇの?望月さん斎藤君と付き合うことになったらしいぞ?」
 「え?マジで?」
 寝耳に水だった。気がつくと俺はテーブルに身を乗り出していて、その振動でコーヒーカップがガチャリと音を立てた。
 「なんでお前がしらねぇんだよ。同じ大学じゃないのかよ」
 呆れ返ったように透が苦笑する。確かに自分でもどうして知らなかったのかと思うが…。
 「いや、なんかあれ以来なんとなく疎遠になってな…」
 彼らが同じ大学に進むということは、もちろん高3の段階で分かっていた。しかし、大学に進学してからは彼らとほとんど顔を合わすことは無くなってしまっていた。大学は高校と違ってコミュニティの幅が格段に広がるので、仕方ないといえば仕方ないことなのかもしれないが、こちらから積極的にコンタクトを取るということはしなかった。
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