ツボにはまる

「どーもー、スーパー・デンジャラスのスーパーなほうです」

「なんで、いいほうを先にとるねん。しゃーないなー。デンジャラスなほうです」

「なんやねん。結局、危険なんを認めるんか」

「しゃーないやろう、いいほう先にとられたんやから」

「実はぼくら漫才やって、十五年経ちますねん。全然、売れへんで、三十四になってもバイトしてますにゃー」

「二人と妻も子もいませんし、彼女もいないおんぼろアパート暮らし」

「そんな個人情報を衆目に晒さらすなよ」

「週の木曜日は、コンビニでバイトや。それをいうたら、なんであかんねん」

「衆目いうのは、一般民衆の目の前ちゅう意味や。木曜日のバイトのことと違う」

「もっとわかりやすく、いうてくれよ」

「じゃ、もうちょっと、わかりやすい言葉を出してやるわ」