1.愛なんて

6/47
前へ
/54ページ
次へ
浅い眠りから目を覚ました時には既にお昼の12時を回っていた。 重い体を起こし、出勤の身支度をした。 ──……… 鏡に写る自分。 私にはわかる。 まるで人形のような、魂だけ抜けた一枚の皮のようだった。 世の男たちはこれを「可愛い」「綺麗」といった言葉で評価する。 風俗業界に足を踏み入れ、私を表現するものは容姿が全てだった。 中身が大事、だなんていうのはリアルな恋愛においてのことで、客が風俗嬢に求めることは容姿の一択だった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加