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男は全身から力が抜け落ちたようにベッドに横たわり果てた。どっかに行ってくれよと言わんばかりにこっちを見ている。打って変わって、私と男はただの他人になった。
その視線と空気感に耐えられなくなり、口から垂れたよだれを軽く拭きながら、ボックスティッシュに手を伸ばした。
「先にシャワー浴びてきて」
どんな顔をして、どんな言葉を言えばいいのかわからない。何かが喉に突っかかって、逃げるようにベッドを降りた。
シャワールームの光が部屋に漏れ、一気に現実味が増す。ドアを閉め、ボディソープのノズルを何度も押し、全てを消し去るように力強く体を洗い流した。
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