1.愛なんて

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菜月はいわゆるザ女子の部類に入る女の子で、男遊びやクラブ、ホストや合コンといった遊びが大好きだ。たまに本気で心配になるくらい、娘を見守る母のようだった。 私にはそういった遊びの楽しさがわからない。だから菜月の話はいつも新鮮で、まるで見たことのない世界観を味わっているようだった。かと言って、自分がそうなりたいわけではない。 それでよかった。 違う価値観の上で成り立つ関係を、私は密かに誇らしく思っていた。 私も菜月にありったけの話を持ち合わせた。言いたいことも遠慮なく言えた。 「合コン?もう興味無いって言ってるでしょ」 この一言で菜月が身を引かないことも知っている。軽いジャブだ。
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