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「で? さっそく帰り道で待ってるって、わかりやすすぎ」
街の灯りが乏しい裏路地で、狼に上から乗られた羊が嗤う。
「るっせぇッ! テメェみたいな不味そうな羊俺だって喰いたかねぇよ…ッ!!」
喰われる寸前にもかかわらず余裕のある羊の眼は暗がりで怪しく光っていた。
「案外美味しいかもよ?」
「……お前、状況わかってんのか?」
「俺と一つになりたいって?」
「なわけあるかッ!! 気持ち悪ぃこと言ってんじゃねぇッ! マジで殺すぞ」
クスッと、嫌な笑い声が漏れた。
「できもしないくせに」
「……ッ」
露骨に顔に動揺が出てしまい、一瞬狼の腕が緩む。
ゆっくりと上半身を起こしながら羊が語る。
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