羊の狼

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 バーにその他の客はおらず、ライトの当たらない薄暗いカウンターの一番奥の席で、狼だけが一人で飲んでいた。 「んー。なら俺は?」 「羊さんは……やっぱり草食系男子ってやつじゃない? 職場でもモテるんでしょ?」 「まぁ、それなりには?」  半笑いを浮かべた余裕綽々の切り返しに、離れた席で一人で飲んでいる狼のストレスゲージが順調にたまっていく。  どう考えてもあの羊は狼にとって一番嫌いなタイプだった。見ているだけで、否、聞いているだけで苛々する。
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