残り、三か月

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 ――残り七十一日。  部屋そのものは広々として文句はないのだが、夜などは一気に狭くなってしまう。特に誠が、寝るためにベッドで横になってからだ。灯りを落とした部屋の中で、こそこそ、ひそひそ。聞こえてくるのは囁きを交わす声、身じろぎする衣擦れの音、それらは次第にざわざわとした喧騒に変わる。うるさいな、と誠が目を開けば、ざわめきは収まる。代わりに誠の視界に映るのは、ベッドの脇に押し寄せる無数の黒い人影だ。彼ら――という表現が正しいのかはわからない――の顔にあたる部分に生えた二つの目が、誠をじっと見降ろしているのである。  あれだけの人数が部屋にいられたら、九帖の広さも全く意味がないではないか。
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