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――残り四十七日。
窓際の飴もそうだが、誠はベッドの枕元にも、その日の残飯などを置いておくようにしている。そうすると枕元に傷痍兵や痩せ細った老人などが残飯を食いにやってくるのだ。これを忘れると、誠の腕や足に彼らは噛みついてくる。一度など仕事で、顧客からのクレーム対応に心身共に疲れ果てて帰宅したことがある。その時、枕元の残飯を忘れて寝てしまったのだ。
夜中に激痛で跳び起きた誠が、布団を跳ねのけて足元を確認すると、毛虫とナマコをミックスしたような赤黒い塊が、脛に噛みついていた。流石にこれには慌てる。
赤子ほどの大きさがあるそれを引っ付けたまま、部屋を埋め尽くす黒影をかきわけ、風呂場に駆け込み、シャワーでナマコもどきを流し落としたのだが。明らかにサイズが合っていない排水溝の中に、ずるぅっとナマコもどきが吸い込まれていく際の悲鳴は、ちょっとトラウマになりそうだった。
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