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少し昔の話、1人の女の子が散歩中に母親とはぐれてしまいました。
女の子がどれだけ歩いても、散歩の途中に通った公園に戻ってみてもどこにも母親の姿が見えません。
女の子は途方に暮れます。
段々と空がオレンジ色に変わってこのままだと真っ暗になって身動きが取れなくなってしまう。
女の子は泣いてしまいました。涙で視界がボヤけて目を両手でゴシゴシと拭う。
「どうしたのかな?」
突然声をかけられて女の子は肩をびくりと震わせる。
「そんなに泣いて、どうしたのかな?」
低いけれど優しい声に女の子は少しだけ落ち着きを取り戻して声の主を見上げました。
そこには優しそうで王子様のようにかっこいい男性が立っていたのです。
「ま、、、ママが、、、いなくってぇ、、、」
女の子は優しそうな目の前の男に安心して事情を説明します。
「あぁ、迷子になってしまったんだね。大丈夫、泣かないで?ほら、泣いてる君にこれをあげよう」
そう言って男がポケットから取り出したのはキラキラと光る包み紙の飴だった。
「この飴を食べるとね、甘くて幸せな気分になって嫌なことはすぐ忘れられる。きっと、お母さんもすぐに見つかるはずだよ」
にこっと笑う男が女の子の掌に飴を置いて軽く握らせる。
「、、ひっく、、、お兄ちゃんありがとう、、、」
そう言って女の子は飴を口の中に放り込みました。
飴は甘くて、口の中で転がす度にイチゴの味がじわじわと広がっていく。
あまりのおいしさに女の子の目がキラキラと輝きだしました。
「おいしい、、、えへへ、、、、あっママだ!」
男の背後を見て女の子は笑って走り出した。
「あっ、彩花ぁぁ!!」
女の子と同じように1人の女性が男の背後を見るなり血相を変えて走っていく。
「ほら、飴を食べれば幸せで嫌なことを吹き飛ばしてくれる。君が怖がるものはもう何も無いんだよ」
そう言って男はどこかへ行ってしまいました。
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