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僕がこの得体の知れない呪いに気づいたのは小学校の時だった。
僕に好意を寄せてくれてた女の子がいた。その子は学校の体育倉庫の裏側、誰の目にもつかない所に僕を呼び出して好きだと伝えてくれた。でも僕は好きな子がいたから断ろうと思ったんだ。だけど女の子は僕が断りきる前に数センチほど身長の高い僕と背伸びして同じ高さになってキスをした。
そしたら糸の切れた人形みたいに膝から崩れ落ちて動かなくなってそのまま。
何故こんな呪いがあるのか僕には分からない。
恨んだことの方が人生で半分以上占めているけど、よかったこともあった。
君が昔みたいに笑うようになったんだ。
もう昔みたいな口癖は言わなくなった。
「まだ正直立ち直った訳じゃないけど、もう怖くないの。全部、なくなったから」
ということらしい。彼女の癌は全て完治した。晴れて彼女は自由の身。
僕らにとっての18回目の春、彼女と付き合うことになった。
真っ赤になって僕に気持ちを伝えてくれた君はとても愛しくてかわいくて。
「ね、キスしてよ」
「ダメだよ。最期までとっておきたいんだ」
僕にかかった呪いはいつまで付きまとわるのだろうか。こんなにも活き活きとして生を望む彼女の隣に死神の僕が隣に立っている。
なんて皮肉なんだろうね。
いっそのこともっと早くに、と思ったこともあったけど、彼女が笑って隣にいてくれたらもう、それでいいかなって最近は思うんだよ。
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